海が見える公園の、とある小さな売店。

更新こうえんのはなし

成田空港のそばに、飛行機がよく見える公園があります。休日ともなると多くの飛行機ファンや家族、カップルなどが訪れ公園は賑わいます。あるいは、隅田川沿いにまっすぐ伸びる公園には、散歩やランニングなどを楽しむ人々がやってきます。

空港にしても川にしても、やはり「特殊な立地」にある公園は人気があります。公園からの特別な眺め、あるいはそこで過ごす時間に、どこか‶非日常の体験〟を覚えるからではないでしょうか。

海に臨む公園もまた、特殊な立地の1つ。青い海、広い空、心地よい風は多くの人を惹きつけます。それが都会で味わえるならなおさら、例えばお台場にある海に面した公園は年中賑わっています。

でも、ときに可愛らしい勘違いも。
「え? お台場海浜公園って、ぶらんこもすべり台もないの?」

とある家族連れの観光客は、広い公園を見渡しながらやや落胆した表情を浮かべていました。「公園」という名前がつくため、ぶらんこやすべり台やジャングルジムといった「遊具」もあると考えていたようです。近代的なビルを背景に、海を眺めながらぶらんこを漕いだらさぞ楽しいだろう、と訪れたそうです。

観光客が言うように、お台場海浜公園には遊具の類はありません。
あるのは、ベンチくらい。

お台場の海があり、600メートルほどの湾曲した砂浜があり、その地形に添うように道や芝生が整備され、ところどころにベンチが並ぶ――。「遊ぶための公園」というよりは「海を眺めるための公園」なのです。

遊具のない公園は、人が歩き、人が集い、人が喋り、人が佇み、人が通りすがるだけの、言ってみれば‶ただの広場〟なのですが、優しい時間だったりユルイ空気感だったり、何かしらの「独特の雰囲気」が漂っているものです。

きっと、人の営みが溢れるからでしょう。

ところでお台場海浜公園には、今みたいに観光地化される遥か昔より営業している小さな売店が、1軒あります。砂浜にせり出すように伸びたウッドデッキに白いイスとテーブルとパラソルを並べ、コーヒーやお酒や食事などを提供しているのです。売店というより、カフェに近いです。

そこに座って海を眺めれば、向こうにはレインボーブリッジや東京タワー、そして都心のビル群まで一望できます。目の前をウインドサーフィンが横切り、船が通りすぎるのを眺めていたら、あっという間に夕方。キレイに沈みゆく夕陽ものんびり楽しめます。

さながら海外リゾートのよう。だからこそ多くの人が集う人気スポットに育ったのでしょうが、そこで密かな役割を果たしてきたのが、じつはこの小さな売店。

お店には人を惹きつける不思議な魅力があるらしく、散歩がてら毎日訪れてコーヒーを飲む人、遠方から毎週のように通う人、あるいは地方から上京すると必ず訪れる人までいて、もはや公園でなく‶お店目当て〟の常連さんも少なくありません。

数十年前からお店を経営するのは、とある家族。
ユニークで気さくな人柄に、多くの人々は自然と惹かれるのでしょう。
もし、この小さな売店がなかったら、お台場もこれほどの人気エリアにはならなかったかもしれません。

人が集う公園には、優しい時間だったりユルイ空気感だったり、気持ちが安らぐ気配が流れているものです。
ちょっと疲れたら、こんな公園に出かけてみるのも悪くないですね。

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(夜景も安らぐお台場の公園)


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街の景色に溶け込む、柔らかな公園デザイン――「なかよしパンダ村」 宮崎県から上京して19年のベテランコンビ――「製造部 津野裕賢、馬原和朋」

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