ワンパクな発想で、遊具に新風をもたらす――「デザイン課 加藤朱乃」

更新Nittoの職人たち

価格が安い。性能が優れている。名前をよく知っている――。製品の購入を決める‶要素〟はいろいろありますが、近年とりわけ重視されている要素があります。それは「デザイン」。

例えば、みなさんご存知、スマホ時代を切り拓いたアップル社の「iPhone」。画面を指で滑らせる操作性、好きなアプリを追加していく自由性など、それまでにない機能が人気の理由です。しかし、じつはもう1つ重要な役割を果たしたのが「デザイン」と言われています。スタイリッシュで近未来的で、眺めているだけでも美しいデザインは、多くの消費者の支持を集めました。

もちろん遊具メーカーの世界でも、デザインは重要な要素です。子どもがワクワクするデザイン、公園に馴染むデザイン、街の景色に映えるデザイン――。もしかすると、公園や遊具は「社会のインフラ」だからこそ、デザインが果たす役割もまた大きいのかもしれません。

さて、私たち日都産業には複数のデザイナーがいます。なかでも「生き物モチーフ系やアスレチック系の遊具なら、絶対にあの人にお任せだね!」と、真っ先に指名が入る者がいます。その名は、加藤朱乃(37歳)。入社12年、中堅からベテランの域に達しつつある女性デザイナーです。

遊具メーカーのデザイナーとは?

「遊具をデザインすることは本当に楽しいです。ただ、デザイナーと言っても、決してアート作品を目指しているわけではありません。遊具で最優先されるのは、子どもの安全です。カッコいい遊具にしたい、楽しい遊具にしたいと、頭をいっぱい絞ってデザイン性を追求しますが、最終的には『どうすれば子どもが安全に遊べるか』という点に心を砕きます」

そう語る加藤の目は、じつに楽しそう。それこそ子どものように輝いています。その一方、語り口はクールかつシンプルであり、そんな二面性からも彼女の仕事に対する熱意、さらには子どもに対する責任感が窺えます。デザイナーといえば、クリエイティブな職業の代名詞。ともすると自由なイメージが先行しがちですが、遊具メーカーには遊具メーカーの使命があるのです。

では、製品はどのようにデザインされるのでしょうか――。
今回は、大人向けの健康器具「カーブトラバース」を参考に、デザインから製品に至るプロセスをご紹介します。

「本格的なクライミングを身近な公園で楽しもう!」というのが製品コンセプト。まずはコンセプトに基づいて「スケッチ」をつくります。スケッチとは「こんな風に登って遊ぶ」とか「曲線を主体にしたデザイン」とか、言わば製品の大まかな全体像です。これをPCでつくります。

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(PCで作成した「スケッチ」)

次に、そのスケッチを元に「模型」を作成します。段ボールやプラスチックや発泡スチロールといった身近な素材を用いて、まずは小さな模型をつくります。二次元から三次元に起こすことで、デザインの不具合や可能性を検討したりします。また、実際にカタチにしてみることで、「きちんと動くだろうか」「実現可能なアイデアだろうか」といった点もチェックできます。

必要に応じて、さらに大きな「模型」をつくることもあります。

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(ベニヤ板でつくった「本格的な模型」)

ほぼ実寸大であり、社員が実際に遊べる本格タイプです。ここまでくると、すっかり製品の雰囲気がプンプン漂います。実際に繰り返し乗って、遊んで、身体を動かしながら、動作性の確認や安全性などをチェックします。

模型を改良してはテストを行い、みんなで会議を開いてはデザイン性を高めていく――。この繰り返しが続くことになります。

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(試行錯誤の末に完成した「パース」)

「こんな本格的な壁のぼり遊具、見たことない!」
嬉しいのは、やはり公園で遊んでいる光景を目の当たりにしたときです。おかげさまで「カーブトラバース」は、若者からシニアまで幅広い人気を集める製品となりました。

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(実際に売り出された「完成品」)

スケッチを描いてから、製品として出荷されるまで――。デザイナーはあらゆる段階に関わっているのです。

Nittoの流儀、加藤のこだわり

デザイナーの個性を活かす――。これがNittoのデザインに対する流儀です。遊具メーカーのデザイナーは「子どもの安全が最優先」とは言ったものの、やはりデザイナーの個性やアイデアこそが製品の魅力を高めるからです。

例えば、「1案件1人」という体制もその現れです。とある遊具の依頼がきたら、その案件に適したデザイナーを1人選ぶと、最後までその社員がデザインを担当します。デザイナーの得意分野を活かすことが、お客様の満足度アップにつながるからです。また、責任の所在が明確になるというメリットもあります。

「私は、もっぱらアスレチック系の遊具や、昆虫・恐竜など生き物をモチーフにした遊具を任せてもらうことが多いです。特にアスレチックは、自分の趣味を兼ねているのでデザインしていて楽しいですし、リアルな体験は‶遊具の面白さ〟に役立っていると思います。ただ、すっかり社内で私の趣味が広まってしまったおかげで、今ではアスレチック系の案件は殆ど私のところに回ってきちゃって」

ちょっと恥ずかしそうに微笑む加藤。小柄な彼女ですが、その「アスレチックの趣味」というのがかなりの本格派。じつはクライミングの達人であり、暇があれば山に入って壁に登っているのです。

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(趣味と実益を兼ねてクライミングする「デザイナー加藤」)

先ほど、デザインの流れを紹介する際に取り上げた健康器具「カーブトラバース」は、言うまでもなく加藤のデザイン。彼女のリアルな体験、知識、そしてデザイン力を詰め込んでいるからこそ、製品としての完成度も高まったのでしょう。社員の特性をモノづくりに生かすのも、Nittoならではの働き方。

「ニットという老舗企業のブランドや資材を使って、お客様の予算のなかで、『自分が考えうる理想の遊具』をデザインしているんです。変な言い方ですけど、趣味が仕事になり、また仕事が趣味にもなり、でも、それがニットらしさかもしれません。自分が遊んで楽しいと思えることは、きっと子どもたちも楽しいと思うし、お客様にも喜んでもらえるはずです」

クライミングを趣味にするデザイナーが開発した、本格的なクライミング遊具――。
加藤の仕事ぶりには説得力があります。

デザイナーに欠かせない「ビジネス視点」

ところで、デザイナーの魅力とは何でしょう。能力、センス、トレンド感などいろいろありますし、もちろんそれらも重要なのですが、加藤がこだわるのは「ビジネスとしての視点」です。

「最近の遊具デザインの傾向として、『派手なら良い』みたいな風潮があるんです。遊びの機能と関係ない装飾がボリュームの半分近くを占めていたり。でも、私はそれって違うと思うんです。自治体には予算がありますから、私たちデザイナーや遊具メーカーがまず考えるべきは『コストを抑える』こと。例えば、お客様が華やかさや可愛らしさを求めている場合でも、不用意に飾りを付けたりせず、雲梯やすべり台など遊具そのものの骨格を活かす手法をご提案します。『コストを抑えつつ、いかにお客様に感動してもらうか』――。そこまで考えることができて初めて、遊具メーカーのデザイナーと言えると思います」

加藤がデザイナーとして優れているのは、自分の得意分野を持っているだけでなく、お客様のため会社のため、いかなる状況においても「最高のデザイン」を出し続けるから。

例えば、こちらの事例。「長い雲梯をカブトムシの角に見立てたら、見た目が楽しいうえに遊びの機能も増えて、子どもが喜びそう。カブトムシは茶色だけど、黄色の板の方がムダなく材料を切り出しコストダウンできるから、黄色い可愛いカブトムシにしよう!」

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(黄色いカブトムシの存在感が際立つ「アソビバオオカブト」)

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(ワクワク感あふれる加藤の「パース」)

ほかにも、公園の築山を利用した「大きなワニのすべり台」、ダイナミックに雲梯を配置した「ショベルカーみたいなジャングルジム」など、とにかく加藤のデザインはユニークなものばかり。

限界までチャレンジしたい!

「就職先としては、ロボットをつくるメーカーや玩具メーカーなども考えていました。やっぱり好きなのは、身体を動かすことだったり、純粋に楽しいことだったり。ニットを選んだのも、『身体を動かして楽しめるモノを作りたい』という理由です」

加藤のデザイナーとしての原点は、現在の趣味であるクライミングの遥か前、つまりは子どものような純粋な心にあるようです。「子どもに夢と冒険を届けたい」――。まさに遊具メーカーは天職と言えるのでしょう。

「将来は、子どもが限界までチャレンジできるような『冒険的な遊び場』をデザインしてみたいですね。限界は、私たち大人が決めるのでなく、子どもが決めるものかなと思うんです。ぜひ、ニットの遊具でどんどんチャレンジして欲しいです」

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(自分自身もチャレンジ精神を忘れないデザイナー「加藤朱乃」)

キラキラと輝く瞳が印象的な加藤。
彼女のデザインには、今後も注目ですね。


昆虫や恐竜など生き物をモチーフにした「他社にない斬新な遊具」、子どもからシニアまで満足させる「本格的なアスレチック遊具」なら、デザイナー加藤にお任せ。お気軽に下記よりお問い合わせください。

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