その昔、「トリビアの泉」というバラエティ番組がありました。クイズ番組のようでありながら当てる楽しみがあるわけでなく、情報番組のようでありながらタメになる話でもなく。ただ、世の中の雑学を紹介するという番組でした。
次々と雑学が紹介されていき、タモリさんなどの出演者は、意外性があり面白いネタと認めると、「へぇボタン」というボタンを押します。それに合わせて、テレビには「へぇ~」という驚きの声が流れる仕掛けとなっており、「へぇ」が多ければ多いほど番組は盛り上がるわけです。
身近な存在にもかかわらず、じつは誰も知らないネタ――。これが「へぇ」を伸ばすポイントであり、人気番組のおかげで、「トリビア=面白い雑学」という認識が広まったほどです。
ところで、遊具業界にもさまざまな「へぇ~」、つまりはトリビアがあります。しかし、そのなかでも‶最大級のトリビア〟といえば、昔の公園によくあった「丸くて回転する不思議なジャングルジム」ではないでしょうか。
じつは、この遊具には正式な名前があります。
知っていますか?
ある子どもは「宇宙船」と呼び、ある子どもは「地球グルグル」と呼び、またある子どもは「酔っ払い遊具」など、みなが勝手な呼び名をつけて遊んでいましたが、本当の名前はコチラ。
グローブジャングル
「へぇ~」「へぇ~」「へぇ~」「へぇ~」「へぇ~」
おそらく、正解率は1%にも満たないでしょう。
みんなが回り、みんなが笑った人気遊具
グローブジャングルは、その名の通りジャングルジムの一種です。鉄パイプをよじ登ったり、隙間をすり抜けたり、構造はジャングルジムそのもの。しかし、普通のジャングルジムは四角く、もちろん動かず、お家かビルのようなデザインです。
それではなぜ、ジャングルジムを丸くして、しかも回転するようにしたのでしょう。それはまさに偶然の閃きでした。
地球儀のような遊具があったら面白いかも――。1951年とも53年とも言われていますが、いずれにしても今からおよそ70年も前の話です。
当時の日本は、戦後からようやく立ち直りつつある復興の時代。子どもが元気に遊ぶことはおろか、食べることや生きることに日本全体が必死だった頃です。また、鉄の加工技術も今ほどではありません。アイデアが閃いたのはいいものの、実現するには多くの苦労がありました。
例えば、鉄パイプを上手に曲げる技術。思考錯誤の末、まさに地球儀のようなきれいな球形をつくることに成功したのですが、何より腐心したのは「安全性の確保」です。何せ、あの重い鉄の塊がグルグルと回転するのです。
倒れたり傾いたりしてはいけないのはもちろん、当時のワンパクな子どもが回すことを想定すれば、スピードが出すぎない工夫も必要です。公園の遊具である以上、何年何十年と遊んでも変わらない「最高レベルの耐久性」も求められます。
そんな苦労を乗り越え誕生したのがグローブジャングル。
もう1つのトリビアは、この回転式の丸いジャングルジムこそ「ニッポン企業が開発した世界初の遊具」ということです。
変わる公園、変わらぬ想い
近年、公園からグローブジャングルの姿が減ってきています。公園の遊具に対するニーズが変わったり、外遊びをする子どもの数が減ったり、時代が変われば公園の在り方も変わるものです。ただ、なかには誤解から生まれた変化という面もあります。
例えば、グローブジャングルは危険な遊具ではないか? という話をたまに耳にしますが、これも近年増えつつある誤解の1つ。下の記事では、最近の公園にまつわる事情が詳細に語られています。
平成の間に「公園」が変わった・・・減った遊具と増えた遊具
(FNN PRIME 2018年10月27日)
‶子どもたちだけで遊ぶには相応しくない遊具〟として紹介されているのは、「箱型ぶらんこ」などごく一部。じつは、グローブジャングルの危険性に関するコメントは特になく、ほかの遊具と同じよう扱われています。つまり、安全だと。(*一般社団法人 日本公園施設業協会の遊具の安全に関する規準)
グローブジャングルが減ったせいでしょうか、子どものパパママ世代、あるいはさらに上のおじいちゃんおばあちゃん世代のなかから、「あのグルグル回る遊具はもう作ってないの?」「空を飛ぶような浮遊感覚が楽しかった」など、グローブジャングルを懐かしむ声をよく聞きます。
およそ70年前に作られた世界初の回転式ジャングルジム――。その記憶がいまだ心に残っている国って、もしかすると日本くらいのものではないでしょうか。
そして、最後に「へぇ~」なトリビアを1つ。
グローブジャングルを世界で初めて開発したのは、じつは弊社「日都産業」です。もちろん現在も制作しています。「公園のシンボル的な遊具がほしい」「設置したいので詳しく知りたい」など、お気軽にお問い合わせくださいませ。
「グローブジャングル」の詳しい情報や図面はこちら
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