下の写真は、早朝のとある公園です。バーにもたれてアキレス腱を伸ばしたり、気持ちよさそうに背筋を伸ばしたり。なかには片足をバーに乗せ、アスリートさながらのストレッチに励む人もいます。
いきなりですが、問題です。
この健康器具の名前は何というのでしょうか。
(シニアに人気のバーなのですが)
正解は「一輪車用の手すり」――。
言われてみないと分かりませんよね。説明されたところで、「そもそも一輪車を練習する子どもの方が少ないんじゃない?」と、首をかしげる方も少なくないでしょう。ごもっともな意見です。現実的な見方をすれば、シニアのみなさんが健康的になる方が有意義ではないだろうか。そんな気がしないでもありません。
しかし、公園に設置されている遊具や器具には、それぞれ「正しい使い道」というものがあります。一見して使い道が不明だとしても、どんな製品にも必ず目的があり、そのためにデザインされ、設計され、設置されています。もちろん、材料もそのために吟味されています。
と考えると、「一輪車用の手すり」は、あくまで一輪車を練習する際に優れた性能を発揮するのであって、ストレッチにはあまり向きません。確かに‶手頃な健康器具〟のように映るのもしれませんが、誤った使い方をすれば思わぬケガを招くこともあり、やはりオススメはできません。
利用者からすれば、「公園は利用者が自由に使うものじゃない?」「自由な空間だからこそ楽しい」といった意見もたくさんあります。
確かに、そうなんですよね。実際のところ公園って不思議な空間で、本来の目的とは違うところに「リアルな利用者ニーズ」があることも多いよう。言い換えれば、時代とともに公園の目的が変わるのは、‶健全な反応〟なのかもしれません。
ラジオ体操から考える「公園の目的」
その昔、夏の朝の公園はどこも子どもたちで溢れていました。その目的はもちろん、ラジオ体操。「夏休みも早起きをして、規則正しい生活を送りましょう」。そんな躾の意味合いもあり、多くの子どもは毎朝、近所の公園に通ったものです。
ところが今、ラジオ体操は季節を問わず行われています。そして、体操の主体は子どもから「シニア世代」に移りました。真夏でも真冬でも、シニアのみなさんは元気よく体操に励んでおり、そんな光景を見るにつけ、「公園の目的」が変わってきていることを実感します。
そして、ここで疑問が1つ。
シニアのみなさんの目的は、本当にラジオ体操なのでしょうか――。
体操が終わっても、そのまま公園にとどまり、めいめいにお喋りを楽しむグループは少なくありません。ひとしきり世間話を楽しむと、喫茶店に移動したり、揃ってウォーキングに出かけたり。あるいは、児童の登校を見守るボランティアとして街頭に立つ人も。
ラジオ体操が目的なのでなく、健康が目的なのでなく、「人とつながり、社会とつながる」――。
それを叶える場所として利用されているのが「公園」なのではないでしょうか。
ちなみに、公園にはいろいろな健康器具があるので、ぜひ正しく使って欲しいですね。
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