私たち日都産業は遊具メーカーです。すべり台、ぶらんこ、ジャングルジム――。80年に渡って、子どもたちが喜ぶ遊具を世の中に提供してきました。ただし、いつも遊具ばかりつくっているとは限りません。ときには「え!そんなモノまでつくってるの?」と、みなさんが目を丸くする事例も手がけています。
なぜなら、自治体の様々なニーズにお応えすることが「Nittoの営業スタイル」。そして「また不思議な案件を引き受けてきたなあ」と苦笑しつつもカタチにしてしまうのが「Nittoの開発スタイル」。面白いのは、こんなときこそNittoの技術力や遊び心が発揮されることかもしれません。
今から遡ること30年前、やはり不思議なモノをつくったことがあります。驚くことに、今なおそれは現役で活躍しており、むしろ経年変化によって‶重厚なレガシー〟へと変貌したそうです。外観の古さがいい具合に風情を醸し、町のシンボルとして住民のみなさんに愛されています。
「あのとき思いついたモノが、まさかこんな感じに育つとはね...」
当時の自治体の担当者も、おそらく想像していなかったかもしれませんね。
今回は「自治体のニーズにいろいろ応えていたら、こんなモノまでつくっちゃった!」という事例のご紹介です。
オール木製、さらには現場でトンカン
その不思議なモノとは、いったい何なのでしょう――。当時の営業マンに確認したところ、30年前の貴重なフィルム写真が残っていました。
(トラックの荷台に積まれた大量の材料)
おや? 荷台に積まれた材料は鉄ではなく、どうやら木のようです。さらには緑の物体も見えます。もしかすると竹ではないでしょうか?
(完成する「巨大な丸い輪」)
巨大な丸い輪が出来ました。やはり木製のようですが、それにしても遊具メーカーがつくるにしては‶謎すぎる物体〟です。丸い輪ということは、ゴロゴロと地面を走る「ロボットの車輪」とか? 30年前ならなきにしもあらず、ですね。
(あっという間に出現した「木製の小屋」)
おぉっと! いきなり小屋までつくってしまいました。屋根の一部に竹が使われているほかはオール木製です。鉄製の遊具が多い公園ではかなり目立った存在ですね。環境にも人にも優しい創作物です。そっと目を閉じれば、今にも新築特有の芳醇な木の香りが漂ってきそうです。
こちらを発注されたのは「埼玉県鴻巣市」。巨大な木の車輪に、木製の小屋――。それにしても、いったい何をつくっているのでしょうか。じつは、改称前の町の名前にヒントが隠されています。
「当時は『吹上町』という名前でした。町のどこを掘っても井戸水が湧き出ることから吹上町という名前が付いたそうです」
当時、この案件を手がけたNittoの営業マンが語ります。入社2年目で手がけたそうで、「遊具メーカーなのになぜこんなモノを?」と戸惑ったそうです。しかし、逆に言えば滅多に立ち会えない特殊な案件。彼にとっては、今も心に残る貴重な体験となりました。
公園のレガシーになった「Nittoの水車」
そうして完成したのは、なんと「水車」。発想のきっかけは「吹上町=井戸水」という地理的な特性でした。
「町の由来を何とかシンボルとして表現できないだろうか」
そんな自治体ニーズに応えるべくつくったのが水車だったのです。
(素晴らしい完成度の「Nittoの水車」)
誕生の経緯を知らなければ、そしてここが公園でなければ、まるで「江戸時代から残る水車」のよう。伝統的でありながら品が漂う美しいフォルムに、多くの住民が喜んでくれたそうです。言うまでもなく、水車はNittoにとっても初めての製作。いろいろ苦労もあったそうです。
「通常の遊具なら、工場でパーツをつくって公園に運び込んで、あとは現場で設置という作業だけですよね? ところがこの水車は、トラックで木材を持ち込んでから、ほぼ現場で製作しました。それと、図面を引くのも苦労しましたよ。だって、水車の図面なんてどこにもありませんからね」
ちなみに、このとき図面を引いたのが現在の工場長。若いうちから何事にも果敢にチャレンジさせる「Nittoらしさ」が感じられます。
そして写真の若い営業マンこそ、この公園を含む埼玉県を管轄する、現在の北関東の営業所長。水車に携わった後、長らく埼玉を離れていた若い営業マンは、30年ぶりに所長として戻ってきました。
「そう言えば、あの水車はどうしたのだろう」
ふと気になって、彼は公園に足を運びました。
(日本庭園のような落ち着いた風情が漂う「30年物レガシー」)
30年経った今もなお、元気に水車は回っていました。
それより何より感動したのは、麗しく老いた、見事な水車の佇まい。
周囲の木々も立派に育っていました。
「入社当時の若かりし自分を思い出したら、不思議と当時の住民のみなさんや子どもたちの顔が次々と浮かんできました。仕事として水車をつくっただけなのに、町や住民のみなさんに何かを残せた気がして、何だか嬉しいですね」
この先もずっとずっと、水車は公園の片隅で回り続けます。
町のシンボルをつくりたい。個性的な施設で公園の集客を伸ばしたい――。「Nittoの水車」の他にもユニークな案件があります。お気軽に下記よりお問い合わせください。
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