どんな企業にもほぼ存在する「総務」という部門。福利厚生を整えたり、採用を担ったり、各部署の連携を図ったり、「企業の黒子」あるいは「企業の司令塔」として幅広い業務を行っています。もちろんNittoの総務部も同様であり、ただ、業務によってはなかなか表に見えづらい部分もあります。例えば「健康経営」もその1つ。
「健康でないと、そもそも働き続けられないですよね? 当たり前のことですけど、最近つくづくそう思うようになりました」
こう語るのは数年来、多方面にわたって「社員の健康」に関する取り組みを続ける総務部の渡辺和恵。健康も経営も、ともすると漠然としがちなテーマです。しかし、新型コロナが広がりつつある今だからこそ、彼女が取り組んできた仕事の意義が響く気がします。
今回はそんな「Nittoの健康を支える職人」のお話です。
3年でたどり着いた「1つのゴール」
「じつは私も、最初のうちは『健康経営』というものにあまりピンときてませんでした。ニットは健康器具も扱っているから、くらいの感じでした。でも、取り組んで1年、2年と経つうちに『中途半端ではダメなんだ』と危機意識を持つようになりました。それからはいろいろ勉強したり、社内でも広める努力をしたり。そして3年目の今年になって、ようやく1つのゴールにたどり着いたところです」
3年――。渡辺はそう言った瞬間、ホッとしたように笑顔を向けました。達成感と安堵が入り交じったような笑顔の裏には、1人で取り組んできた苦労や悩みがあるに違いなく、いろんなことを思い出したのかもしれません。
ちなみに、彼女が言うところのゴールとは「健康優良企業認定証 銀」――。健康経営に対する取り組みとして手にした‶成果〟です。努力がカタチとなって表れるのは、やはり嬉しいものですね。
(3年越しに掴んだ1つのゴール「健康優良企業認定証」)
渡辺が取り組んできたのは、健康企業宣言東京推進協議会がすすめる「健康企業宣言」という事業。認定を受けるには、指定されたリポートを提出して合格する必要があるのですが、このリポートこそがじつに難関だったそうです。
進め方としては、健康増進に関するチェック項目があり、それを1つひとつクリアーしていきます。例えば「健診の必要性を従業員に周知していますか?」「再度検査が必要な人に受診を勧めていますか?」といった細かな質問、さらにはこれらに関する対策が幾つも用意されており、1つひとつ丁寧に答えていきます。
1つの項目を埋めるだけでも大変さが理解できますが、こうしたチェック項目は全部で18にも及びます。しかも、単なる‶紙の話〟では済まないところがポイント。各項目を達成するには、あらゆる社員に働きかけ、なおかつ実際に行動に移してもらい、1つひとつ成果を残していく必要があるわけです。
「こちらの業務をなかなか理解してもらえず、例えば健診の場合ですと、二次検査をなかなか受診してくれない社員もいます。せっかく一次で問題を発見できたのだから、本来は二次が重要ですよね。でも、こうなると地道に進めていくほかありません。チェック項目を1つクリアーしては次に進み、失敗してはまたやり直して...。そんなことを繰り返しながら、1年かけてリポートを完成させるんです」
結局、渡辺はゴールにたどり着くまでに3年を要しました。彼女がホッとしたように向けた笑顔の真意が、ようやく分かった気がします。日頃から苦労を見せない彼女の気配りや想いにも、改めて頭が下がります。
健康面から見るNittoの魅力とは?
「じつは私、子どもの頃からニットの遊具で遊んでたんですよ。と言っても、会社選びのときに初めて知ったんですけどね。就職情報誌を見ていたらニットを見つけて、『遊具をつくってる会社があるんだ。勤めたら面白いかも!』というのが入社のきっかけです」
営業系の職種を希望していた渡辺ですが、最初に配属されたのは総務部。2年後には営業系の部門に異動し、幾つかの部署と営業所を経たのち再び総務に戻ってきました。しかし、この間にはちょっと変わったことも。
「じつは一度ニットを辞めて、2000年に再入社しました。戻ってきた理由は、やっぱりニットだからでしょうか。知っている人が大勢いて安心感がありました。正社員で戻れるという条件も魅力的でした。ニット特有の『こじんまりした雰囲気』が好きなんです。だからこそ、社員のみんなが健康であってほしいと願うようにもなりました」
なぜ渡辺は「健康企業宣言」に取り組んできたのか――。総務という役割はもちろんのことですが、会社や社員に対する想いが根底にあるようです。
目指すべきは「Nittoらしい健康」
ちなみに今回、Nittoが健康優良企業として認定されたのは「銀」。すなわち、この先には「金」が控えているわけです。オリンピックであれば、次は金メダルを目指すべきところかもしれません。ただ、渡辺の考えは少し異なります。
「3年取り組んでみて感じたことは、数値やデータでは測れない‶ユニークな健康指標〟もあるはず、ということです。例えば、チェック項目にはないけど、ニットでは社員の有志チームが駅伝大会に出場しています。これは健康的な活動というより、社員同士の絆が生んだ精神的な活動に近いのかな、という気がしています。似たようなケースですが、昔はよくみんなで飲みに行ったりスポーツをしたりしていました。うまく表現できないけど『職場の健康』というか『ココロの健康』というか『みんなの健康』というか、こうした自由な活動がたくさん育って、社内のあちこちに『ニットらしい健康』が広まる方が、社員も組織も健康になれる気がします」
(認定証に隠れてニッコリと微笑む――総務部 渡辺和恵)
金を目指すのも悪くないけど、もっと大切なことがある――。最終的に目指すのは、社員みんなが健康になること。笑顔で働くこと。そして、それが経営につながっていくこと。健康がますます重要になってきた今、渡辺が地道に蒔いてきた種が、静かに芽吹き始めるに違いありません。
ニットらしい健康――。
これは渡辺だけでなく、社員みんなでつくっていくものなのかもしれません。
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