先日、遊具にもユニバーサルデザインを採り入れた製品があることを当HPにおいてご紹介しました。どっしり感のある低いフォルムや、這って遊べるユニーク性など、健常者・障害者を問わず人気を集める様子をリポートしています。ご興味のある方はぜひご覧ください。
特別だけど、特別じゃない遊具――「ユニバーサルコンビ」
ところで、記事を掲載したところ次のようなご質問をいただきました。
「そもそもニットという会社は、なぜユニバーサルデザインに興味を持ったのですか?」
ユニバーサルデザインは知っていても、まさかその発想を活かした‶特別な遊具〟まであるとは知らなかったようです。おそらく同じように感じた方も多いのではないでしょうか? というのも世間一般でいえば、決してユニバーサルデザイン遊具の認知度は高くないからです。
なぜ興味を持ったのですか?――
というご質問。言い換えれば、
「ニッチな市場に勝算はあったのですか?」
というのが‶本音〟ではないかと思います。
勝算があったかなかったかはさておき、Nittoがユニバーサルデザインに着目したのは偶然であり、また必然でもありました。
まずは偶然のお話。
ユニバーサルデザインという言葉、そしてその概念が日本で広く知られるようになったのは1997年頃でした。公共施設や日用品などに次々とユニバーサルデザインが採用されていくなかで、「それなら同じ発想で遊具をつくってみたらどうですか?」と、とある関係者からヒントをいただいたのです。
とある関係者とは、東京都庁のとある部署です。遊具メーカーの主な販売先は、公園をつくったり管理したりしているところ、すなわち自治体です。Nittoにとって自治体はお客さまであると同時に、共に住民の暮らしを良くしようと頑張る、言わばパートナーでもあります。常日頃から情報交換をしており、そんな流れのなかで「ユニバーサルデザインの遊具があったら良いですよね?」と、逆提案をいただいたのです。
まさに偶然。この会話をきっかけにユニバーサルデザイン遊具という、ある意味でニッチな市場に進出したわけです。
一方、必然のお話。
Nittoの本社は東京にあります。言わずと知れた日本の首都であり、1400万人を抱える大都市であり、さらには文化や情報の発信基地という側面もあります。ユニークな取り組みにしても新たな制度にしても、「まずは東京から」という歴史があります。ユニバーサルデザイン遊具も「まずは東京から」という流れが生まれ、本社も工場も東京にあるNittoがその役割を担ったわけです。
東京という土地柄も作用しました。子どもからお年寄りまで含め、公園や遊具を利用される方々もじつは、Nittoにとっては大切なお客さま。文化も情報も多様な東京において、住民は問題意識を持ちやすい特徴があります。新製品へのニーズは高く、遊具に対するこだわりも強いなど、ユニバーサルデザイン遊具を受け入れやすい風土でもありました。
自治体の後押しと、利用者のニーズ――。東京で遊具づくりを営む企業にとって‶2つのお客さま〟の声に耳を傾ければ、もはや必然の判断でした。
ユニバーサルデザイン遊具を手がけて約20年――。
偶然と必然が重なって、Nittoはこの分野でパイオニア的な存在となったのです。
もちろん「常に新しいことに挑戦する」という、先進的な企業風土があってのことですが。
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