ぶらんこやすべり台など一般的な遊具のみならず、「何これ?」という変わり種も得意なNitto。過去には、街のシンボルが欲しいという自治体ニーズにお応えし、まるで江戸時代からあるような「レガシーな水車」をつくったことも。
さて、先日もユニークな製品を手がけました。それはコウノトリの「デコイ」です。デコイとは、もともとは狩猟で囮に使う‶鳥の模型〟のことで、カモの姿を模した木彫りの小さな模型もデコイの一種です。インテリアとしても有名なので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
今回、Nittoが手がけたデコイは超本格派で、コウノトリはなんと実物大!
(本物と勘違いしそうな「コウノトリの実物大デコイ」)
「あら、人間によくなついたコウノトリね」
事情を知らない人が見たら、あまりに本物ソックリな姿に勘違いするかもしれませんね。全体をまとうオーラといい、ピンクの脚のディテールといい、今にもサッと飛び立ちそうな気配すら感じます。
そもそも、なぜコウノトリの「実物大のデコイ」をつくったのか。じつは、トキやコウノトリなど希少生物を野生に復帰させる社会プロジェクトの一環としてNittoがお手伝いしたのです。遊具メーカーとして培ったモノづくりの技術を社会に還元できることは光栄であり、そして楽しいものです。
今回はそんな「社会プロジェクトな事例」のご紹介です。
偽物が招く、本物のコウノトリ
社会プロジェクトが行われているのは、栃木県にある「渡良瀬遊水地」です。「絶滅危惧種183種を含む貴重な動植物が生息・生育する『自然の宝庫』となっており、2012年に国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されました」(以上、小山市ウェブサイトより一部抜粋)
そんな自然豊かな場所において、「トキ・コウノトリの野生復帰」に向けた取り組みの一環として、コウノトリの実物大のデコイをつくったわけです。要は、本物ソックリの模型を置いてコウノトリの飛来を促そう!というユニークな試みです。また本物と瓜二つのデコイは人目を引くため、当プロジェクトのPRも兼ねています。
そもそも最初にデコイをつくったのは3年前に遡ります。木製で‶2羽〟のコウノトリをつくりました。
(仲良く見つめ合う2羽のコウノトリ)
水面に設置された2基のデコイは、本当に池で‶羽を休めている〟ように見えます。人間と比べれば一目瞭然のとおり、それにしてもコウノトリは大きな鳥なのですね。写真からでも迫力が迫ってきますし、やはり本物感を追求したディテールが効いています。
3年前につくった‶2羽〟に効果があったのか、飛来するコウノトリが増えたそうです。そこでさらに6基、もとい‶6羽〟の追加注文があったというわけです。
親鳥、6羽を産む
元々のデコイがこちら。高さは1メートルもあります。純白のスッとした立ち姿が美しいですね。
(塗装前の「親鳥のデコイ」)
この木製のデコイもとい‶親鳥〟を型取って6羽を増やすことにします。
(パーツごとにつくられるコウノトリ)
胴体と脚を別々につくって塗装を施し、最終的に基礎コンクリートブロックに固定します。なお、デコイは着脱式にしており、洪水時などは取り外せるように工夫しています。
こうして無事に生まれた6羽を渡良瀬遊水地に‶放った〟のが先日のこと。
(6羽はどこにいるのでしょうか)
さすがはラムサール条約に登録された湿地。遥か先まで見渡せる広々とした光景です。これならコウノトリもたくさん飛んできてくれそうな予感がします。
Nitto製の6羽はきちんとお役に立てたのだろうか――。
その後がどうしても気になり、現地へ確認にいってきました。
個性的なモノづくりならNittoにお任せ
(優雅にくつろぐ本物のコウノトリたち)
「めちゃくちゃいっぱい飛んできてる!」
「どれが本物でどれがデコイか、もう区別がつかない」
と、喜んだのも束の間。じつは、これらのコウノトリは‶すべて本物〟だそうです。というのも台風の影響により、デコイは全部しまっていたそうです。着脱式でつくっておいて良かったと実感するとともに、コウノトリがたくさん飛来している光景にちょっぴり感動しました。
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