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ある日から「鉄棒」と呼べなくなった!――遊具のネーミング②

2020年11月20日開発ストーリー
  

新製品を売りだす際は、デザイナーや設計者や営業マンなどで会議を開いてネーミングを決める――。以前、当HPにてこんな記事をご紹介しました。ご興味のある方はぜひご覧ください。
何となく決めることも――遊具のネーミング①

自社の製品であれば、カッコイイ名前にしようとカワイイ名前にしようと、当然ですが自由ですよね? 例えば、Nittoの健康器具「ジワジワ前屈」などは、語感が良いうえに製品特性もしっかり表現されており、上手くいった事例の1つです。

ところが、自由なはずのネーミングにも例外はあります。それは、遊具の「分類から外れた」とき。分類から外れるとは、簡単にいえばルールが変更されて規格が変わったため、最初の分類でなくなることです。

例えば、こちらの製品。最初のネーミングは「波状鉄棒」でした。

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(優雅なカーブが公園をアートにする「おおなみこなみ」)

波のようなカタチだから「波状鉄棒」――。特徴的なデザインと、遊具の分類上である「鉄棒」という名前をくっつけるという、じつにシンプルなネーミングです。利用者も一瞬で覚えやすく、また遊びやすいと思います。

じつは「波状鉄棒」は、遊具の安全に関する‶規準ができる前〟につくられたもの。ところが、後からつくられた規準により、「握り棒の太さは20~35㎜」のモノのみ『鉄棒』と分類されたのです。あいにく、こちらの製品は分類に該当しませんでした。つまり、現状のデザインでは鉄棒を‶名乗れない〟ことになったのです。

さあ、どうしようか?
思いついたのが「おおなみこなみ」。

大きな波と小さな波が交わる海面のイメージを、そのままネーミングに採用したわけです。「ずいぶんと簡単なのね」と思われるかもしれませんが、さにあらず。苦肉の策のように見えて、じつはここにネーミングの妙が隠されているのです。

「おおなみこなみ」と、全部ひらがなに変えたことで柔らかなイメージを加えました。「波状鉄棒」というネーミングは、すべて漢字のうえ画数も多く、やや硬いイメージがありますよね? 「大波小波」も同じこと。ひらがなに変えるという小さな工夫でイメチェンできるのは、日本語の面白いところかもしれません。

さらには鉄棒という名前が消えたことから、「ベンチにちょうど良いかも」など、利用者が新たな発見をすることも。製品そのものが変わるわけではありませんが、新たな使命を帯びて利用者のもとへ旅立つような、ちょっと嬉しい気持ちがするものです。

やっぱり、ネーミングって不思議ですよね。

余談ですが、「おおなみこなみ」はグッドデザイン商品にも選定された逸品です。そこでNittoでの分類も、いわゆる一般的な製品を指す「スタンダード遊具」から、美しいデザインが特徴的な「アート遊具」へと変えました。

ネーミングを変えると、良いこともあるようです。


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