昔はどこの街にも原っぱや空き地など、いわゆる‶何もない空間‶がありました。何もないから、子どもたちは工夫を凝らして遊んだもので、段ボールや余った材料などを集めては、小さな秘密基地をつくる子どももたくさんいました。
「学校が終わったら、また秘密基地に集合しよう」
先生も保護者も知らない、自分たちだけのお城――。いざ作り始めると、もっと壁を高くしたいとか強度をアップしたいとか考えるようになり、しだいに‶基地ともだち‶は増えていきました。ある意味、基地は子どもの憧れでもありました。
ところが、今の子どもたちが基地をつくることは、ほぼ不可能です。都会からは原っぱや空き地がすっかり消えました。仮に見つけたとしても、住宅や店舗の予定地であることが大半で、周囲には柵が張り巡らされているからです。
「自分たちの基地が欲しいなあ」
とはいえ、やっぱり子どもは‶自分たちだけの場所‶に憧れるものです。そんな子どもたちに向けて開発した「基地のような遊具」という事例のご紹介です。
揺れる!揺れる!4層タワー
遊具の名前は「スパイダーとりで」。スパイダーという名の通り、クモのように高所を登ったり、揺れたり、くぐったり、ひっくり返ったり、ぶら下がったり――とにかく気の向くまま自由に遊べる点がポイントです。
(公園のなかに現れた「自分たちの基地」)
複数のアイテムから構成されたコンビネーション遊具ですが、やはりパッと目を引くのは、中央にあるトランポリンのような形状の「ロープネットタワー」でしょう。4層から成る足場のすべてがロープとネット。つまり、常に足元と体がユラユラと揺れている状態となります。
所々にある空間をくぐり抜けて登ってみたり、外側のバーをつたっててっぺんに向かったり、逆さになって揺られたりと、その自由自在な動きはまさにスパイダーマン! ハンモックのように寝そべる子どももいますが、それもまた一興。
「1番上から眺めると、けっこう怖いよ」
足元が不安定だからこそ、スリリングさは増すわけです。実際、てっぺんで立ち上がれば友だちの頭よりも高く、爽快感が味わえる一方で細心の注意が必要です。
「スパイダーとりで」の醍醐味は、この4層タワーを中心にして地上に降りることなく、異なる遊びをいろいろ増やしていけること。もう少しフォーカスして見てみましょう。
(右手に向かえば「4層タワー+ロープ+すべり台」)
タワーの右手には、クモの巣をモチーフにした「スパイダーロープ」があります。ロープ下部が地上から浮いているだけでなく、上部にも空間を設けており、まさにクモのような‶宙ぶらりんの世界‶を実現。見た目のリアルな感じもあいまって、夢中になる子どもが続出するとか。さらに右手にはすべり台と連結しており、そのまま渡って滑り降りるもよし、というわけです。
他方、すべり台の方からクモのように登ってきて、ロープをつたって4層タワーに到達、というルートもあります。その場合、タワーの左手に進むことになるのですが、こちらはこちらで異なるアイテムを揃えています。
(左手に向かえば「4層タワー+ポール+ポップロック+すべり棒」)
タワー左手にある「にょきにょきポール」は、一見すると渡るのは簡単そう。ただ、足場となるポールはさほど太くないため意外と難しいのです。また、地上スレスレで渡るか、それともてっぺんから渡るか、それによっても難易度やスリルは異なってきます。さらに左手には、壁のぼりを楽しむ「ポップロック」、そして「ななめのぼりぼう」と続きます。
すなわち、タワーの右手では「揺れる遊び」がメインであるのに対し、左手では登り降りなどの「ハードな遊び」がメインとなります。1つの遊具において、同じクモのような遊びをするにしても、好みや状況や創意工夫によっていろんな遊びが可能になるわけです。
クモのように揺れながら、筋力とバランス感覚をアップ
(じつは意外に大変な「クモの基地」)
冒頭の写真とは反対側、そしてやや遠目から写した風景となります。こうして見ると、手前にあるすべり台の先端からはじまり、右奥に見えるすべり棒まで渡ろうとすれば、かなりの距離と体力、そして根気を要することが分かります。
面白いから続々と子どもが集まり、ほかの子どもはそんな光景につられ、「自分も遊んでみよう!」とやってくるわけです。すると、自然とそこで友だちができて、遊びが生まれて、自分たちだけの基地に――。
「学校が終わったら、また秘密基地に集合しよう!」
とは、今の時代はなかなか難しいもの。これからの時代は、こんな合言葉が流行りそうですね。
「学校が終わったら、『クモの基地』に集合ね!」
楽しいのはもちろん、繰り返し遊ぶことで筋力もバランス感覚も鍛える、Nittoオリジナルのコンビネーション遊具です。
(スパイダーとりで「パース」)
「スパイダーとりで」に関するお問い合わせはこちら
/contact/