新しい会社案内をつくっていると、春先に当HPにてご紹介しました。16ページの短い冊子とはいえ、写真を撮り直したり、文章表現を見直したり、デザインを変えたり、凝ってつくれば時間はかかるもので、ようやく今週、印刷会社にデータ入稿をしたところです。
ところで、そもそものお話ですが。
会社案内とは、会社のことをよく知っている人も、そうでない人も、いろんな人に渡るものです。つまり、事業内容を紹介しつつも、「へえ、ニットってこういう会社なんだ」「興味が沸いてきた!」など、読んでくれた人に何らかのイメージを残す必要があります。
遊具にかける情熱、デザインへのこだわり、現場の高いスキル――。こうしたモノづくりの基本をしっかり押さえながらも、「いかにニットの個性を知ってもらおうか?」という部分に頭を悩ませました。いわゆる社風ですね。
会社案内では、その1つとして「何でも自作してしまう」というエピソードを紹介しています。自作するモノとは、遊具づくりに必要な機械のこと。必ずしも遊具づくりに必要な機械がすべて存在するわけではありませんので、「こんな機械があると便利だな」というときは、専用マシーンを自分たちの手でつくってしまうのです。
例えばNittoの工場では、ぶらんこのシート高を自動調整する巨大マシーン「TK-001」や、梱包材を効率よく切断する「TK-003」といった独自のマシーンが活躍しています。社員みずから設計図を引いて、材料を集めて、加工して、組み立て、さらには実際に工場で稼働させてしまうわけです。
ところでマシーンの名前ですが、どこか近未来を思わせる不思議なネーミングですよね。製作者「タカハシ・ケイイチ」の頭文字から「TK」となり、「001」とは彼がつくった‶1号機″を意味し、「003」は3号機となります。ちなみにタカハシは、溶接したり組立を行ったり、実際にモノづくりを担う製造部の社員です。
その一方、設計図を引くなど遊具のベースづくりを担う設計課の社員が専用マシーンを手がけることもあります。こちらの場合は、「製品の開発においても専用マシーンを活用していこう」という狙いです。例えば、Nittoで人気を集める遊具「リンクミニ」。ウマやウサギなどの生き物、あるいは新幹線や消防車といった乗り物をモチーフに、小さな子どもがまたがって前後に揺れる乗り物です。
(Nittoの人気遊具「リンクミニ」)
こうした動きのある遊具は、長期間の利用に耐えるかを確認するために耐久試験を行っています。具体的には「75Kgの負荷をかけた状態で100万回の可動クリア」という厳しいテストです。しかし、さすがに人力では限界がありますよね。
「リンクミニを自動で揺らすマシーンがあると便利だな」
こう思い立った設計課の社員は、さっそく実行にとりかかりました。
(専用マシーンの「設計図」)
(完成した「専用マシーン」)
「メーカーで働く人間なら、『自分で設計図を引いてつくってしまおう』と考えることは、普通のことだと思いますよ。だって材料はあるわけだし、工作機械も揃ってるし、ノウハウも分かっているんだから」
こう語るのは、専用マシーンをつくった本人。
なお、マシーンの名前は「TRK-001」。ここにちょっとしたエピソードがあります。製作者は「テラド・ケンタ」ですが、頭文字から取ろうとすると、すでにTKマシーンが存在します。「さて、どうしようか?」と困っていたところ、同僚が「TRK」というネーミングを考案してくれたとか。
先発のTKマシーンにしても、後発のTRKマシーンにしても、社員みずから創意工夫を楽しみ、またそれを実現できるだけの高い技術や知見があり、それが本業である遊具づくりへと活かされているわけです。こうしたエピソードを社外の人に話すと大変驚かれ、感心されるケースがほとんどなのですが、製作した本人たちはいたって冷静です。
「世の中にないから、自分でつくっただけですよ」
職人としての頼もしさと誠実さが伝わってくると同時に、この自由なオリジナリティこそ、Nittoの社風を物語っている気がします。
ちなみにTRKマシーンですが、先輩に追いつき追い越せとばかりに、2号機となる「TRK-002」も活躍しています。設計やシステムといった本業をこなしつつ、会社を少しでも前に進めるため、「やるならとことんやろう!」という気持ちでいろいろ動いているのです。近々、本人の取材記事を掲載する予定ですので、どうぞお楽しみにしてください。
独創的なモノづくりは、ユニークな社員から――。
会社案内は6月、完成予定です。
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