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見えぬところで社員をサポート――「総務部 萩原雅和」

2021年09月30日Nittoの職人たち
  

Nittoは、創業80年を超えた老舗の遊具メーカーです。公園や学校などの公共施設に、すべり台やぶらんこといった様々な遊具を販売しています。遊具は、どこでも目にする身近な製品です。生活者にとっては身近な存在である一方、企業名が前面に出ることはほぼありません。

例えば、自動車や家電なら「トヨタの新製品」とか「パナソニックの掃除機」といった具合に消費者は認知します。ところが、遊具の場合、遊んでいる子どもも見守る保護者も、その遊具がどこのメーカーの製品なのかを知ることは少ないのです。

人知れず、子どもの遊びや成長を支える製品――。
いわば、遊具は‶社会の黒子″のような存在です。

そこにあることが当たり前であり、いつも子どもにワクワクを提供しつつ、「みんなが喜んでくれるのが一番の幸せ」――。そんな風に、Nitto社員はいつも考えています。

社会に黒子がいるように、企業にも黒子は欠かせません。もちろんNittoにもそうした社員がおり、それが総務部に所属する萩原雅和(49)――。3回の転職を経てNittoに入社した、プロパー社員の多いNittoでは珍しいタイプです。

「社員が毎日楽しく、気持ちよく、そして成長できる職場づくりを目指しています。例えば、会社は新入社員を預かったなら、立派な社会人に育てる責務があります。ベテラン社員であれば、彼ら彼女らが生き生きと働き続けるだけのモチベーションが必要です。そうした『目に見えない部分』をサポートするのが、総務部の役割だと考えています」

すでに入社から10年が経過した萩原。すっかりNittoに馴染んだ彼ですが、ちょっとユニークなところは、本業の経理とは別にいろいろ工夫していること。彼が「目に見えない部分」と語るように、まさしく会社を成長させるため、社員に喜んでもらうために日々汗を流しています。

目に見えない仕事は、やはり多くの社員にとっても見えづらいものとなります。必然的に、萩原の働きぶりも社員にはあまり知られていません。良かれと思ったことが、ときには面倒がられたりすることもあります。

しかし、会社を良くしようという一念のもと、萩原は諦めずに動き続けます。
なぜなら、黒子が諦めてしまっては、会社も社員にも不都合が生まれるからです。
Nittoの黒子として、彼はどんな仕事をしているのでしょうか――。今回は、そんな「黒子な職人」のお話です。

メディア対応で社員をバックアップ

Nittoは昨年あたりからメディア取材が急増しています。女性デザイナーが日本テレビの人気番組に出演したり、新しい遊具が朝日新聞で大きく取り上げられたり、かつてないほど注目を集めています。メディアに出れば自治体や消費者からの認知度はアップし、お問い合わせも増えます。

つまり、黒子である遊具メーカーにとって、企業や製品を社会に広く知ってもらうチャンスです。とはいえ、メディア取材は単に受ければ良いというわけではありません。
「メディアは何を知りたいのか」「どんな写真が必要なのか」など、取材をスムーズに進めるための準備は欠かせません。ほかにも当日のセッティングや終了後のフォローなど、やることはいろいろあります。

そんなメディア対応を主に担っているのが萩原です。場合によっては、1つの取材でも事前に幾度となくやり取りすることもあります。そのたび必要な資料を集めたり、社内確認に動いたりなど、細かな作業が続きます。

ちなみに、取材を受けるのは萩原ではありません。
デザイナーや営業担当など、モノづくりや販売で‶前面に出る社員″です。萩原は、そんな社員が取材当日にうまく話せるように、しっかり会社をPRできるようにと、黒子に徹してサポートします。

「私は総務部の社員です。鉄パイプを切ったり、お客さまに製品を販売したり、直接遊具づくりに携わっているわけではありません。でも、ニットの一社員として何か貢献できるはずで、メディア対応はその1つです。メディアへの露出は、会社の大きな宣伝になります。もちろん営業にもつながります。だからこそ総務部としてしっかり準備して、間接的ながら売上げアップに貢献できればと考えています」

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(書籍や新聞などメディア取材が増えるNitto)

メディア対応に力を入れる背景には、もう1つの‶意外なメリット″を期待しているとか。
それが「社内への波及効果」です。

「やっぱり有名メディアに出た翌日などは、自然と社内は活気づきます。社員の表情は明るくなって、会話も増えます。取材を受けた本人もちょっぴり嬉しそうで、誇らしげで、そんな光景を見るのが好きなんです。自分がやってる目に見えない仕事が、見えたように感じる瞬間でもあるんです。それに家庭的な雰囲気こそ、ニットという会社の良さですからね」

社員が毎日楽しく、気持ちよく、そして成長できる職場づくりを目指しています――。
冒頭で述べた萩原の言葉は、ややもすると漠然としたモットーのようで、現実味が伴いません。しかし、メディア対応という「見えない仕事」を通して、彼はモットーを実践しているわけです。

「Nittoのテレワーク」の立役者

近頃、Nittoではテレワークに関する取材が増えています。中小企業ではテレワーク導入が遅れており、なかでも製造業は難しいと言われるなか、数年前より実践しているからです。

「読売新聞」「東京都YouTube」「TELE WORK」「都内企業に学ぶテレワーク実践事例集」「はたママ」――。ざっと例を挙げるだけでもかなりの数に上ります。自治体の刊行物がメインですが、なかには全国紙やママ向けウェブ媒体など、確実に広がりを見せています。

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(広がりつつある「Nittoのテレワーク」)

取材の多くは、テレワーク実践の第1号となった女性デザイナーが受けています。テレワークの難しさやメリットなどについて彼女が語っており、それが成功事例として紹介されています。しかし、彼女がいざ実践しようと思っても、そこは組織。最初から簡単にできるわけではありません。

まずはテレワークを運営するための制度設計が必要です。このほか社内啓蒙、システム準備、課題の洗い出しから運営中のトラブル対応まで、じつに多くの課題が待ち構えています。普通に仕事をしていると気づきにくいのですが、便利なテレワークができる背後には、それを支える黒子がいます。

じつは「Nittoのテレワーク」導入に奔走した者こそが、萩原です。またもや目に見えない部分で働いていたのであり、しかもコロナ禍の現状を考えると、先見の明があったように思えます。

ところが、彼の答えはじつにあっけなく、そしてシンプルなものです。
「困っている女性社員を何とかサポートしたかっただけなんです」

妊娠したけど、妊娠中はもちろん出産後も好きな仕事を続けたい――。そんな女性社員の相談こそが、テレワークに取り組むきっかけだったとか。


テレワーク導入のリーダーを買って出ることになった萩原は、女性社員と一緒に試行錯誤しながら動き始めました。初めての取り組みだけに困難も絶えません。そのたびに粘り強く解決し、PDCAを繰り返して、数年ほどで現在のような取材を受けるレベルに至ったというわけです。

ときに先走り過ぎる、と評される萩原。ユニークな販促を考えてはみたものの途中で断念するなど、思いばかりが先行してしまうケースもあります。

ただ、こういう風にも考えられます。
先に走ってみなければ、分からないこともたくさんある――。

とりわけ中小企業では、デジタルやマーケティングといった専門分野まで手が回らないのが実情です。だからといって何もしないわけにはいかず、誰かが勇気を出して‶先に走ってみる″ことは必要でしょう。もしかすると萩原は、あえてその役割を背負っているのかもしれません。

何にせよ「Nittoのテレワーク」が高い評価を得ているのは、彼が「先に走ってみた成果」の1つ。
突然やってきたコロナ禍においても、社員はスムーズにテレワークを実践できたのがその証拠でしょう。

いろいろやってみよう!

そもそも会社とは、社員1人ひとりの働きがつくるものです。1つひとつの仕事からできるものです。そして、社員と仕事を効率よく回すために営業、総務、設計といった各部署が存在します。ただ、必ずしも必要な業務すべてが割り振られるとは限りません。

例えば、通常ならマーケティング部が担うようなHP運営。
例えば、大手企業とのコネクションづくり。

Nittoにはこうした部署はありません。しかし、会社の成長には必要なこと。誰かがやらねばなりません。
そうした業務を見つけては、率先して引き受けているのが萩原です。

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(大手企業への提案資料)

例えば、自治体が主な販売先であるNittoには、民間企業との接点はなかなかありません。でも遊具に対するニーズは民間企業にもあるし、何よりNittoの良さを知ってほしいと考える萩原は、知り合いの大手企業などに自ら出向くこともあります。

パースを見てもらったり、デザイナーを紹介したりと企業PRに努め、それは幾つかの商談にもつながっています。
あるいは、本社の玄関受付には最新のHP記事が並んでいますが、これも萩原のアイデア。

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(お客さまとのコミュニケーションを引き出す)

お客さまが訪れた際の会話の糸口にしたい、という狙いです。事実、取材のため訪れた記者が記事に目に止め、そこから取材テーマが膨らんだり、異業種のお客さまが遊具に興味を持ってくれたりなど、少なからずの効果も生まれています。

どれも小さな取り組みです。すぐに成果が出るかも分かりません。
しかし、萩原は日々工夫を重ねては、会社を前進させようと考えています。

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(小さな工夫をコツコツと――総務部 萩原雅和)

「今考えると、説明不足のため周囲をうまく巻き込めなかったなど反省点や失敗は多々あります。でも、やはり面白い仕事は好きですし、会社や社員のためになるのなら、いろいろチャレンジしたいと考えています。総務部は確かに、モノづくりに直接は関われません。だからこそ、みんなが気持ちよく、幸せに働ける環境づくりを目指しています」

語り口は控えめですが、社員をしっかり見守るというスタンスには、総務部ならではの‶職人魂″を感じます。
テレワーク導入のきっかけは、とある女性社員からの相談でした。このケースに限らず、萩原は誰かが困っていれば飛んでいってじっくり話を聞いて、何とか解決しようと一緒に頭を悩ませます。

そんな彼の姿を、多くの社員は知りません。
だからこそ、黒子なのかもしれません。


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